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筌(ミクロネシア連邦、ヤップ島)
竹製の筌の例

(うけ、うえ[1])とは、外側が網体で構成されており割竹等で作った漏斗状の口から入ってきた魚介類を閉じこめて捕獲する漁具[1]。なお水生生物の調査器具(調査用の定置網など)の構成部分でもある[2]

漁具[編集]

湖沼、浅の底にある魚道に一定時間設置し、魚類エビカニの類を誘い込んで捕獲する。地域によって材料構造名称は様々で、細木によって作られ、単なる状から状・状・状・状のものなどがあり、名称も「ドウ」「ド」「モジリ」「モドリ」「モンドリ」などの別名がある。と組み合わされて用いられる場合もあった。

日本列島では縄文時代から内湾外洋において海水産魚類を対象とした漁労が行われ、大型貝塚を造成した。弥生時代に稲作農耕が開始されると水田用水路など新たな淡水環境が生まれ、淡水産の貝類魚類を対象とした淡水漁業が開始される。こうした淡水漁業の開始に伴い専用漁具も生まれたと考えられており、福岡県北九州市辻田遺跡や大阪府八尾市山賀遺跡などの弥生遺跡から筌と考えられている漁具が出土している[3]。『古事記』や『万葉集』にも登場する。近代に至るまで広く利用され、簡単に魚類などを捕まえるとして利用された。

調査器具[編集]

筌(うけ)は水路等に設置して移動する魚や水生昆虫を捕獲する調査器具の定置網の構成部分でもある[2]

脚注[編集]

  1. ^ a b 意匠分類定義カード(K2) 特許庁
  2. ^ a b 野外調査”. 農林水産省. 2020年2月2日閲覧。
  3. ^ 樋泉岳二「漁撈活動の変遷」『人と動物の日本史1 動物の考古学』吉川弘文館、2008年

参考文献[編集]

  • 二瓶野徳夫 著「筌」、国史大辞典編集委員会編 編『国史大辞典 第2巻 (う~お)』吉川弘文館、1980年。ISBN 978-4-642-00502-9OCLC 703915836全国書誌番号:80028469 
  • 神野善治「筌」『日本史大事典 第1巻 あ~お』平凡社、1992年。ISBN 4-582-13101-8 
  • 但馬佳也「筌」『日本歴史大事典 1 あーけ』小学館、2000年。ISBN 4-09-523001-0 

関連項目[編集]